背伸びして、キス


「どこの高校の奴かとか、いろいろあるだろ!」

「ええ―・・・。高校っていうか、社会人だよ。大人の人。背が高くて、ちょっと口は悪いかも」

「おっさん!?」

「お、おっさんとか言わないの!」




確かに年上だけど、おっさんには見えないし。
だからって、同年代の子たちとはやっぱり違うけど。




「・・・そっか」

「武くん・・・?」




さっきまでの勢いが急になくなりシュンと肩を落とす。
いったい、朝からどうしたんだろう。




「ほんと、武ってバカよね」

「なんだよ、涼子。やんのか」

「本当の事言ってるんでしょ」

「チッ、もういい。じゃあな」

「え、武くん?」



涼子ちゃんの言葉に舌打ちをして武くんはいってしまった。




「涼子ちゃん・・・?」

「いいのよ。あいつだって、ちゃんと現実見なきゃ」



現実・・・?




「いつまでも、そっちばっかみてんじゃないわよ」




ボソッと呟いた言葉の意味が、私にはわからなかった。



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