背伸びして、キス
「手芸って言っても、いろいろとあるんですけど・・・」
「俺は、教えてはやれないから。やり方とか自分で見てもわかるようなのがいい」
「そうですね。初めてなら、尚更簡単なものから始めたほうがいいとは思います」
手芸屋さんにやってきた私たちは、うろうろと店内を歩きながら物色する。
作りたいものって、なんだろう。
「例えば、こういうこれだけ買えば一つの何かが出来上がる、キットなんかは結構重宝するかもしれませんね」
「へぇ。そんなのがあるのか」
「ビーズアクセサリーとかいいかもしれませんね。とりあえずキットを買って、もし興味が出てコツを掴んだら自分の好きなビーズを一緒に選びに来てあげるのとかどうですか?」
「ああ。ビーズならひなでもできそうだな」
「じゃあ、このキットの中からいいのを選んであげてください」
一条さんはビーズキットのコーナーを真剣に見て選び始める。
ひなちゃんの事が、本当に大事なんだろうな。
本当に、真剣だ。
「これなんてどうだ」
「可愛いと思います」
「うん。じゃあ、これにしよう」