背伸びして、キス
「料理の本か?そういやぁ、管理栄養士だったっけ?」
「はい。作るのは好きですけど、栄養の勉強は全くしたことがないので、今から少しずつ基礎だけでも入れておこうかと思って」
「へぇ。熱心なんだな」
料理関係の本が並ぶコーナー。
一条さんは、文句も言わず付き添ってくれている。
感心したように私が持っている本を覗き見ている。
「私には、これくらいしかできることないから」
「ずいぶん自分の子と下に見てるんだな」
「下にというか・・・。それが現実です」
必要とされたい。
誰かに。
だから、選んだ道かもしれない。