背伸びして、キス

素直になりたいのに



一条さんと一緒にいたい。



それだけのことが言えなくて。




あの日、武くんたちとはすぐに別れた。
トボトボと家に帰りつくと、一条さんから連絡が来ていた。



『今日はありがとう。友だちと、楽しんでな』



楽しんでなんかないよ。
私は、一条さんと一緒の方がよかったよ。


せっかく好きだって確信持てたのに。
もっと一緒にいられると思ったのに。



武くんのせいじゃない。



私の事迷惑そうだった本田さんたちのせいでもない。




私が。
私のしたいことをはっきりと言えなかったから。



< 71 / 351 >

この作品をシェア

pagetop