背伸びして、キス


「いらんことしぃね、武の奴」



月曜になっても凹んだままだった私を気にして、涼子ちゃんが話を聞いてくれた。



「違うの・・・、私がはっきり言えなかったから。別に、武くんが一緒にいようって誘ったわけじゃないし」

「その人が余計な気を回したってことね」

「・・・うん」



そう。
あの時、武くんは私に話しかけてくれただけ。
一条さんがそんな私たちを見て、離れただけ。

一条さんにとっては、私とご飯に行くことは簡単に取りやめられるくらいの気持ちだったんだ。




「そんな落ち込むってことは、好きになったんだ」

「・・・うん」



どうしてこんなにも好きになっちゃったのか自分でもわからない。
特別なことがあったわけじゃないと思う。

ただ、一緒にいることが嬉しくて、楽しいと思うだけ。



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