百の魂に幾千の想いを

2.記憶は鮮烈に私を縛る

忘れもしない。あの日。
私は孝雄に呼び出されていた。

「ごめん!」

休日だったこともあり、遅くまで寝ていたせいで遅刻をした。待ち合わせは町のバス停。行き先は私は知らなかった。孝雄に聞いても「行ってからの楽しみ」と言い張って、教えてくれなかったから。

「いいよ、別に。時間なんてあるんだからさ」

待っていた孝雄はそう言うと、バスの時刻表を確認し始めた。私は携帯で時間を確認した。時刻は9時30分。

「本当に…ごめん…」

私たちが乗るはずだったのは9時22分発の掛かった時だった。 ふと窓を見れば、バスに向かってトラックが突っ込んできていた。

(なんで今、赤のはずが…っ)

「志乃っ!」

横から手が伸びて来る。
窓ガラスが割れ、
爆発音のような音が聞こえ
…私の意識は途絶えた。



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