生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う
翼side
翼は体育館で行われている軽音部のリハーサルに立ち会っていた。
「音響も大丈夫だね?」
翼は腕時計を見る。
そろそろ恭にぃが来る頃だな?
体育館の入り口のドアを全開にして受け入れやすくする。
扉を開けると一気に体育館にも冷気が入って来た。
流石に外は寒い。
降っていた雪は止んでいた。
パティーが終るまで止んでいてくれると良いのだが、あまり降るようだと皆んなの帰りが心配になるからその時はパティーを切り上げなくてはいけない。
「うっそ!?」会場に現れた森山は俺を見るなり固まった。
「なに、その翼の格好…ウケるんだけど!アハハハ」
森山の後から現れた恭にぃは腹を抱えて笑っている。
最近会社の事を色々覚えてもらう為に父さんが恭にぃをいろんな部署へ勉強に行かせてる。
今日もケータリングの手伝いに来る事になっていた。
「うるせー!好きでこんな格好してるんじゃねぇ!!」
さっき樋口が司会者はパーティーの盛り上げ役なんだからこれを着ろと渡された。
なんでも木ノ下さんと清水さんのお手製らしい。
昨日1日ふたりが姿を見せなかったのはこの為だったようだ。そしてこの企みには勿論亜美も加担してるから後でお仕置きをしてやろうと考えていたところだ。
「それより翼はどうして居るんだ?」
「どうしてって俺の学校はここだから!?」
訳のわからない恭にぃの質問に冷ややかに答える俺。
「そうじゃなくて、なんでここに居るんだよ?亜美ちゃんは?」
「亜美はそっちに居ただろ?立ち会う事になってるんだから?」
トイレにでも行っていたか?
「いや、確かに居たんだけど、翼に呼ばれてるってサンタが呼びに来たんだよ?それで俺は麻美ちゃんに案内してもらったんだけど?」
「え?どういう事だ!?俺はずっとここに居たし、亜美を呼んで無い」
すると森山が心配そうに話しだした。
「サンタの格好してたからはっきりとは言えないけど、多分E組の男子だと思う。坂井君に頼まれたって… まさか…」
森山が青い顔をする。
「どうした?」
「E組って早川瞳のクラスだよ!?」
まさか…
あれ以来何も問題は起きていなかったし、影口を言ってるなんて噂も入って来ていない。