生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う

次の日も次の日も病室へ顔を出すけど、私の事は思い出せない様で、私が顔を出すと翼の表情は変わる。

だから私は翼の顔だけを見てすぐに帰って来る。

そんな日が続いて新しい年が明けた。

1月1日、朝からパパにもママにも、勿論一史にも新年の挨拶はしていない。

年を明けて最初に声を掛けるのは翼にと決めていたから!

去年は翼と新しい年を迎えて初めに話したのは翼。

だから今年も最初に話す相手は翼と決めていた。

病院に向かい翼の病室の前で深呼吸をする。

部屋の中から恭之助さんと美姫さんの声もする。

翼が私の事を思い出していますように…

ノックをすると美智さんの返事が聞こえた。

扉が開けると翼は車椅子に乗っていた。

「翼、明けましておめでとう!」

「…おめでとうございます」と翼は頭を下げた。

やっぱり私の事はまだ思い出していない様だ。

「美姫さん、車椅子押してもらえますか?少し気分転換に病室の外を回って来たいので!」

「それなら亜美ちゃんに押して貰ったら?」と恭之助さんが言う。

「はい、私で良ければ?」と、私は翼に近づく。

「すいません…知らない人だと気疲れしますので!美姫さんお願いします」

美姫さんは戸惑いながらも分かったわ!と言って車椅子を押す。その後ろを恭之助さんが着いて行く。

翼は病室を出て行く時、私にとてもショックな言葉を残して行った。

「恭にぃは幸せだよね?こんな綺麗な人と結婚出来るんだから!俺も美姫さんの様な人と巡り会えるかな?」

「翼!!」

恭之助さんの翼を叱る言葉が聞こえてドアは閉まった。





< 146 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop