生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う
病室には芳人さんと美智さん、そして私の3人が残された。
美智さんは翼の発言にごめんなさいと謝ってくれた。
そして芳人さんが申し訳なさそうに言う。
「亜美ちゃん… 暫くここには来ないでくれるかな?」
「芳人さん…」
「もうセンター試験まで日にちは無いだろ?ここに来る時間を無駄にしないでくれ!もし、受験が上手く行かなかったら、翼が君の事を思い出した時悲しんで自分を責めると思う。だから、亜美ちゃんはセンター試験で良い結果が出せるように今は翼の事は忘れて欲しい。」
ベット横にあるテーブルの上に目が止まる。
そこには私がプレゼントした小箱が置かれていた。開けられずリボンのかかったそのままで…
それは翼に拒否されている様に感じた。
「分かりました…」そう言って私は病室を後にした。
どうやって帰って来たのか自分でも分からず自分の部屋に入りベットの中で泣いた。
そして泣き疲れていつの間にか眠っていた。
私は夢を見た。
『俺が渡した指輪返してくれないか?』
『どうして?』
『あの約束は無かったことにしてくれ!さようなら』
「待って!翼!お願い待って!」
「姉ちゃん!姉ちゃん!」
一史に体を揺すられ目を覚ます。
「一史…」私は起き上がる。
「どうしたんだよ?うなされて居たぞ?」
翼が私から離れて行く夢を見た。
翼はこの指輪を返してくれと言っていた。
首にぶら下がるリングを握る。
約束は無かったことにしてくれと…
そして私に背中を向けて遠くへ行ってしまった。
「母さんが飯だって!」
「ごめん…食欲ない…」
私は再びベットに横になり布団を頭まで被る。
「ダメ!最近全然食べてないだろ?母さんも店があってなかなか家族揃って食べれないんだから、正月ぐらい家族で食べよう?」