生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う
あの時
俺は目が覚めた時、心が空っぽっだった。
沢山の機械と管に繋がれている自分。
ここは? 病院?
「気づかれましたか?ご両親をお呼びしますね?」看護師から声を掛けられた。
「翼!良かった。心配したのよ…」と泣いている中年女性。
「良かった!翼、あんまりみっちゃんに心配掛けるなよ?」と涙を流しながら微笑む中年男性。
この人達は俺の両親…なのか?…
分からない…
なんど母さんよと言われても…
なんど父さんだぞと言われても、俺は分からない。
ただ「すいません…」と謝るだけ。
俺は事故に合い救急車運ばれ手術をしたと言う。
全く覚えていないがこの怪我の状態を見ればそうなんだろう。
医者は記憶が無いのは事故の時に頭を打った為で一時的なものだと言う。
俺は高校三年生らしい。
じゃ、受験生か?それとも就職組?
窓際の棚に置かれた卓上カレンダーは12月。
進学するなら、今の時期は最後の追い込み?
でもこの状態なら受験は無理だな?
まるで人事だ。
それが不運なのか、ラッキーなのか分からないが、覚えていないんだから仕方が無い。
それから程なくして一般病棟に変わった。
俺のことを心配して駆けつけてくれた人達。
誰を見ても、誰と話しても自分が誰なのか分からなかった。
思い出そうと考えると頭が痛くなり吐き気がした。
少し休もうと目を瞑った。
そんな時看護師の話し声が聞こえた。
点滴を変えに来た看護師達は俺が眠っていると思ったのだろう。
「可哀想このまま車いすっ」
「しっ!彼はまだ知らないのよ!」
「すいません…」
俺は車いすの生活になるのか…
あまりショックじゃないな…
自分が誰なのか分からないとこんなものなのかな?
でも、俺の両親は悲しんでるんだろうな?
彼女はどうなんだろう?
俺の恋人?立花亜美さん。
彼女は俺がもう歩けない事を知っているのかな?
いや、知らないだろうな?
もし、知ったら俺から離れて行くんだろうな?
今は同情で側にいてくれてもいずれは離れるだろう。
だって健常者の方が良いに決まってるもんな。
まぁその点は記憶が無くてラッキーだったかな?