生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う
翌朝、恭にぃが仕事に行く前に顔を出してくれた。
記憶が戻った事を喜んでくれる恭にぃ。美姫さんも涙を浮かべてる。
美姫さんにも随分心配掛けたんだろう。
「恭にぃ、俺が入院してるからってサボってたんだろ?」
「お前ね?心配かけておいてそういうこと言うかね?俺は翼の運転手の仕事以外にも沢山仕事はあるの!これでも忙しいのにこうやっておまえの顔を見に来てやってるんだぞ!?ありがたく思えよな!?」
「フン!綺麗な看護師を見に来てるだけだろ?」
「やっぱり分かっちゃった?ナース姿は唆られるからな?今度美姫に着て貰おうかな?でも、次の日寝不足で仕事にならないな?」
「アホ!未成年相手にする話か!?」
恭にぃと俺とのやり取りを聞いて居た、母さんや美姫さんはホントよ!っと言って笑う。
大丈夫、俺にはこの人達がいる。
コンコン!ノックと同時に開いたドア。
「翼、メリークリスマス❣」
「…おはようございます」
俺は無表情で亜美に挨拶をした。
亜美は昨日と変わらない俺を見て固まっている。
俺の記憶が戻ったと聞いて来たのだから当然だろう。
心配して毎日顔を出してくれた亜美…
俺の大切な亜美…
笑顔で抱きしめてやりたい。
忘れててごめんって言ってやりたい。
でも…決めたから…
亜美の幸せの為に俺は君の側にいてはいけないと…
「翼?亜美ちゃんよ!」母さんが言う。
判ってるよ?俺の大好きな亜美だ。
「おいおい、冗談は辞めてやれよ?亜美ちゃんずっと心配していたんだからな!?それとも久しぶりで照れてるのか?」恭にぃがからかう様に言う。
亜美が心配していたのは知ってるよ!
いつも笑顔でここに来て俺の記憶が戻らないかといろいろ話してくれていた。
そして帰る時には寂しそうにして帰って行く亜美を見ていたんだから!
だから…
本当は笑顔で名前を呼んでやりたい!
「ねぇ翼?私よ!」
「すいません… あなたの事はまだ思い出せなくて…」
俺の返事を聞いて悲しそうな亜美。
瞳を潤ませ必死に涙を堪えてるのが判る。
ごめん…