生徒会長と私の秘密 ~愛を誓う

「母さん、少し疲れたからベットを下げてくれる?」

「ええ…そうね?まだ無理しない方がいいわね?」

母さんにベットを下げてもらい、亜美を拒絶する様に窓の外へ顔を向けた。

「亜美ちゃん、ごめんなさいね?まだ全部思い出すまで、もう少し時間がかかる見たい…」

「そうですよね?あんな酷い事故だったんだから…でも、良かった少しでも思いだしてくれて、また、来ます!あっこれ翼へクリスマスプレゼント、後で渡して下さい。」

亜美… ごめん…

さっき迄賑やかだった病室は静まり返っていた。

「翼?亜美ちゃんの事、本当に覚えていないのか?翼は美姫と亜美ちゃんのクリスマスプレゼントを買いに行って事故に合ったんだぞ?」

「うん… 分からないんだ… 事故の日の事も覚えていないんだ… 中学までの記憶しかなくて… ごめん…少し疲れたから」

恭にぃはまた来るよと言って美姫さんと病室を出て行った。

うちの学校は11月で定期試験も終わり試験が終ると3年生は午前授業になる。

12月に入ると自由登校になり皆んなセンター試験まで自分に合った勉強の仕方で追い込みをかける為殆どの生徒は登校しない。

だから、クリスマスパーティは3年生にとっていい気晴らしになるのだ。

亜美はクリスマスパーティには多分参加しなかったんだろう。ここへ来てたからな…

試験勉強は進んだるのか?

毎日、顔を出してくれて、今はそんな時間無いはずだろ?

だから、俺はあからさまに嫌な顔をする。

俺の事など忘れろよ!

試験に集中しろよ!

亜美には行きたい大学が有るだろ?

恭にぃは仕事の帰りに顔を出してくれる。

仕事の終わるのが遅い時は翌朝、必ず顔を出してくれる。

恭にぃは亜美の事を妹の様に思ってくれている。

だから顔を出すのは俺の為と言うより亜美の為だろ。

亜美の寂しそうな顔を見て放っとけ無いのだろう?

恭にぃは毎日亜美の事を話してくれる。

俺が一目惚れした事から全て…

恭にぃ、ありがとう…

俺は忘れてないよ?あの日の事は昨日の様に鮮明に覚えている。

初めて会った天使の様な亜美を…

からかうと俺の背中にあっかんべーと舌を出す可愛い亜美。

とんでも無い味の卵焼きを作って泣きそうになった亜美。

ドレスアップした時も誰もを振り向かせる美しい亜美。

お姫様抱っこをしたとき真っ赤な顔で降ろしてと抗議した亜美。

俺の初恋で、ファーストキスの相手。

男がファーストキスの相手を忘れられないと言ったら笑われるかもしれないけど、俺は忘れない。

最初で最後の恋になるだろうから…





< 156 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop