わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!

その夜。

王太子は不在のまま国王一家との会食がなされた。

リリアンヌは王国での暮らしや旅の途中で見たものをお話しする。

国王夫妻は興味深く耳を傾け、お返しにと王太子の植物研究ぶりを話す。

視察に出掛けては新種の植物を採取してくると言い、毒のあるものから薬になるものまでを知り尽くしており、薬草の正しい使い方を医師はもちろんのこと騎士にも広めていると話す。


「少々変わり者だ。巷ではやりの言葉を借りれば・・・王妃、あれはなんて言ったかな?」

「王さま、植物オタクですわ」


そうそうそれだと言って、国王は声を立てて笑う。

王妃もクスクス笑うからリリアンヌもつられて笑った。

和やかな空気に満ちる中、リリアンヌが王太子からのお手紙には必ず押し花が添えられていることを話すと、国王夫妻は少し驚いたような表情をした。

そして、それは意外なことだと言って二人顔を見合わせて微笑みあう。


会食はつつがなく終わり、終始笑顔だった国王夫妻には気に入ってもらえたようで、リリアンヌはホッと胸を撫で下ろした。

あとは明日の誕生パーティでアベルに気に入ってもらえれば、ミント王国の王女の役目はひとまず終える。

気になるのは、ただ一つ。

レミーア王女の存在だけだ。


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