わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
レイはスッと跪き、リリアンヌの手を取った。
真摯な光を宿す鳶色の瞳がまっすぐに向けられ、リリアンヌも真摯に受け止める。
「こんなに俺の気を引く女はほかにいない。この先も何度お前に惚れるのか、一生をかけて確かめたいと思う。俺の妃になってくれ」
「・・・はい。よろしくお願いします」
返事をした途端、レイは立ち上がるついでのようにリリアンヌを抱き上げた。
抱き上げられた方は驚きのあまり声も出せない。
「リリが俺のものだという証拠をもらってもいいか?」
「え?はい?」
そっと下ろされて腰を抱き寄せられたリリアンヌはレイを見上げた。
証拠とはなんでしょう?と首を傾げる頬に手が添えられ、ゆっくりと近づいてくる唇が見えてリリアンヌは思わず目をつむる。
「ん・・・」
柔らかな感触が唇に触れるのを感じ、驚いた拍子に開いた間からレイが侵入してきた。
後頭部が支えられて口中を甘くさぐるような感覚に、リリアンヌの思考が奪われる。
体の芯に火がともり、その得体のしれない感覚に震え、ただ身を任せてレイのされるがままになった。
やがて名残を惜しむかのように唇を吸い、離れていくレイをぼんやりと見つめる。
「そんな顔をされると、国に帰したくなくなる」
レイに言われてリリアンヌも帰りたくなくなるが、そうもいかない。