わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
馬車は順調に進み、窓の外の景色が緑一色からポツリポツリと家が建つ平地に変わっていく。
レイと出会った山がどんどん遠くに離れていく。
彼の活動範囲は山。
『また会おう』などと言っていたが、もうこれで偶然にも会うことはないだろう。
だんだん家が目立ちはじめて街並みに変わり、道行く人が増える。
太陽が西に傾き始めた頃、一行は人で賑わうローザの宿場街へと入った。
速度を落としてゆっくり進むため、人の声が馬車の中まで届く。
ミント王国のようにベージュと赤で統一された家並みではなく、暖色から寒色まで、建物の色合いはバラバラで自由なよう。
歩く人も、肌の色も髪の色もいろいろで、目に入るものすべてが新鮮だ。
さすが異国の人々が集う宿場街だと感心する。
「まあ!リリさま見てください。大きな花飾りが売っていますわ」
ハンナが目ざとく見つけた店は女性向けの雑貨を売っている。
そのとなりには、野菜や果物などの食品を売る店がある。
そして飲食物を売る小さな屋台店も見つけた。
そこで若い女性たちが何かを買って嬉しそうにしている。
パッと目に入った情報から判断すれば、手のひらサイズのお菓子のようだ。
ミント王国にはなさそうなものに見え、あそこには絶対行くのだと、リリアンヌは密かに決めた。