わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
しばらく歩いていると、前方ににぎやかなお店があるのを見つけた。
外に掲げてあるランプが赤や青の光を放っていて、人の騒ぎ声がかすかに聞こえてくる。
「あれは、何のお店ですか?」
「あそこは遊技場だ。行ってみたいのか?」
「はい!行ってみたいです!」
ほのかな月に照らされたブラウンの瞳が輝きを増し、期待に満ちてレイを見上げる。
そんなリリアンヌを見て、レイはしばらく考えた後言い聞かせるようにゆっくり言った。
「じゃあ、条件がある。絶対に俺のそばから離れるな。男性客に話しかけられても無視しろ。それを守れるなら連れて行ってやる」
「はい。離れません!」
リリアンヌは、レイの手をぎゅうっと握ってみせた。
いつの間にか、彼は信用できる人になっているのだ。
遊技場の中はとても広く人がいっぱいで、赤や青の光であふれている。
不思議な光だと思ったリリアンヌがランプに近寄って確かめると、ガラスが赤や青に塗られていると分かった。
こんなランプは初めて見る。
さすが異国は違うのだと、いちいち感心してしまうのだった。
そんな暗めな証明の中で煌々と明るい一角があり、集まった人が歓声を上げたり拍手したりしている。
リリアンヌはレイの手を引っ張ってアピールし、そこに近づいた。
何の遊びですか?と店員に尋ねれば、くるくると動き回る的を小さな弓矢で射る遊びで、十個全部当てられれば賞金が出ると説明する。