わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
「こいつは驚いたぜ」
太い腕が首を締めるように拘束し、二人は「離しなさい!」と言ってじたばたと暴れるが、かえって強まった腕の力に抗うことができなくなり「ううう」と苦しげな声を上げた。
「おい、お嬢さんのほかにもイイのがいるぜ。久々のヒットだぜ」
「ああこんなに腕のいい用心棒がついてるお嬢さまだ。こいつは、いい金づるになりそうだな。そっちの二人は、皆で楽しんだ後に売るか」
ハンナとメリーが悲鳴をあげると、賊たちはゲヘヘと下品に笑った。
「そんなことはさせません!」
リリアンヌはかろうじて落とさずに持っていた矢を強く握り直し、賊に向かって振り上げた。
だがそれも簡単に叩き落されてしまい、矢は賊の足でバキッと折られた。
悔し気に唇を噛んでうつむく顔を賊の手がぐっと上を向かせ、脅しの言葉をささやく。
「美しいのに殺すのはもったいねぇ。死にたくなかったら、おとなしくしてろ」
「あなたたちの金づるになるくらいなら、ここで死んだ方がマシです!」
「へえ、気が強いな。じゃあ、腕を折ってやろうか。少しはおとなしくなるだろう」
ぎりっと再び強く腕を捩じりあげられ、リリアンヌは痛みで悲鳴を上げた。
「リリさま!!やめてください!」
メリーが泣き叫ぶ。
ハンナが「私を代わりにしてください!」と懇願するように叫ぶ。
リリアンヌの腕の骨がギシッと嫌な音を立て、賊の顔が愉悦にゆがむ。
「ほらほらもうすぐ折れるな~」
「やめて!!」