わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
賊は観念し、ベシャッと地面にひざまずいてうなだれた。
その体が、黒服の男が持つ縄でぐるぐると縛られる。
「これで、ここにいる全ての賊を捕らえました」
「ご苦労。後の処理は警備隊に任せる」
「は!すぐに手配いたします」
サッと身をひるがえした黒服の男は馬と人の向こうに消えていった。
メイドたちも賊の腕の中から解放されており、リリアンヌのもとへ一目散に駆け寄った。
腕の中でぐったりとする様子は痛々しく、メイドたちの目から涙があふれでる。
「リリさま!リリさま!腕は!?腕はどうなのですか!?」
「リリさま!目をお覚ましください!!」
「大丈夫だ。腕は折れていないし、少し気を失ってるが、すぐに目覚める」
良かった・・・と心底安堵したハンナは、ハッと何かを思い出したような声を出し涙を拭いて見上げた。
「あ、あなたさまは、もしや野原の・・・?」
この人は悪者ではなかったか?と混乱する様子のハンナに、黒服の男とともに傍に来たマックが説明した。
「ハンナ、この方たちはリオン王国の賊討伐隊だそうだ。この辺りを調査中に我らは会ったらしい」
「まあ!リオン王国の!?そうでしたか。リリさまを助けてくださり、本当に、本当にありがとうございます!」
「あなたさまは、命の恩人でございます!」