わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!


「でも本当に折れなくてよかったです・・・リリさまの身に何かあれば、アベルさまにもミント王国の皆様にも顔向けできないところでしたわ」


ハンナが心底ホッとしたように言うと、就寝用具を整え終えたメリーが後を続けた。


「助けてくださったあの方々は、リオン王国の賊討伐隊だそうですわ。あのときは王都に戻る途中で、襲われていたリリさまを見つけてくださって・・・本当に、本当に幸運でした」


メリーは話しながらあのときを思い出したのか、目に涙を浮かべてわなわなと震えだした。

あんな恐ろしいことはもう二度と体験したくない。

メリーの背中を慰めるようにさするハンナも、濡れた目をそっと拭っている。

リリアンヌはそんな二人の手をきゅっと握って、感謝の気持ちを伝えた。

痛みで意識が薄れる中でも、メイドたちの助けを願う叫び声はずっと聞こえていたのだ。


「ありがとう、ハンナ、メリー。二人には心配をかけました。あなたたちには怪我がなくてよかったわ」


三人でひとしきり騎士を含めた皆の無事を喜び合った後、メイドたちは涙を拭いて互いに顔を見合わせて頷きあった。

リリアンヌに伝えなければいけないことがある。


「リリさま、それで、あの、皆は無事でいいのですが・・・その、ドレスが・・・」

「え?ドレスがどうかしたの?」


賊にも立ち向かえる気丈なリリアンヌだけれど、その後聞いた一言にはショックで倒れそうになり、ハンナたちが慌てて支えたのだった。



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