最愛の人、お譲りします。
「え、風邪?」
電話越しに聞こえるのは、シュウの声。
風邪をひいたから、学校にこられないとのこと。
確かに、いつもよりも声が鈍い。時々、咳をしたり、鼻をすする音も聞こえてきた。
だから一緒に行けない、って。
申し訳なさそうにしょんぼりとした声で言う。
「うん、わかった。」
「ノート、シュウの分取っておくね。」
ありがとう、と声が聞こえたあとに、2回の大きな咳の音。
結構酷そうだなあ、なんて思いながら、「じゃあ、お大事にね」と電話を切った。
シュウはめったに風邪をひかない。
珍しいなぁとか思いながら、玄関のドアを開ける。
行ってきますの一言は、今はもう言わなくなった。母親はもう仕事で家を出ている。かといって父親に向けて言うのは、気が引けると言うか、ちょっと恥ずかしくて。
「あっつ……」
玄関を出た私を真っ先に迎えたのは、ギラギラと激しく照る日差しだ。
昨日よりも強いそれに、目を細めつつも歩き出す。
家から学校までは少し距離があるから、一人で行くのはちょっとつまらない。というか、寂しい。
シュウがいないだけで、こんなにつまらなくなるのか。
なんて。
ちょっと恥ずかしくなって、苦笑した。
電話越しに聞こえるのは、シュウの声。
風邪をひいたから、学校にこられないとのこと。
確かに、いつもよりも声が鈍い。時々、咳をしたり、鼻をすする音も聞こえてきた。
だから一緒に行けない、って。
申し訳なさそうにしょんぼりとした声で言う。
「うん、わかった。」
「ノート、シュウの分取っておくね。」
ありがとう、と声が聞こえたあとに、2回の大きな咳の音。
結構酷そうだなあ、なんて思いながら、「じゃあ、お大事にね」と電話を切った。
シュウはめったに風邪をひかない。
珍しいなぁとか思いながら、玄関のドアを開ける。
行ってきますの一言は、今はもう言わなくなった。母親はもう仕事で家を出ている。かといって父親に向けて言うのは、気が引けると言うか、ちょっと恥ずかしくて。
「あっつ……」
玄関を出た私を真っ先に迎えたのは、ギラギラと激しく照る日差しだ。
昨日よりも強いそれに、目を細めつつも歩き出す。
家から学校までは少し距離があるから、一人で行くのはちょっとつまらない。というか、寂しい。
シュウがいないだけで、こんなにつまらなくなるのか。
なんて。
ちょっと恥ずかしくなって、苦笑した。