最愛の人、お譲りします。
教室に入ると、やけにざわついていた。
窓の方に、人がたくさん集まっている。

なんだろう、と私はその渦に入っていった。



その中心にいたのは、知らない子だった。
それでか、と教室の異様なざわつきの正体に納得する。


転入生は、茶髪の男の子だった。

さらさらとした男子にしてはちょっと長めのようにも思える髪型。
整った顔立ちで、とにかく、女子に人気のありそうな容姿だ。背もわりと高い。



「あっ」

じっと彼を見ていると、つい目があってしまって、思わず目をそらした。




かっこいいなあ、なんて思いながら、自分の席につく。

私の席は彼と同じ窓際の席の前から二番目。

次の授業の準備をすませてからぼうっと頬杖をついた。




まあ、シュウには敵わないな。



なんて思ってたら、きししと悪い笑い方をしてしまっていたみたい。

おかげで隣の席の人に、笑われちゃった。





そうだ、シュウに報告しなきゃ。







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