距離
目が覚めるとベッドの上にいた。
私の膝の上で寝ている隼人くん。
怪我をしたら心配してくれる人がいる。それだけで幸せだった。
隼人くんが乗っている膝が痛む。怪我人の上に寝る彼氏もどうなのかと思いつつ、恐る恐る起こしてみる。
「隼人くん、隼人くん、膝痛いよ。」
「んん…。」
隼人くんがゆっくり起き上がる。
「ハッ!藍海!藍海ー!」
半泣きで抱きついてくる隼人くん。少し可愛かった。
「心配かけてごめんね。もう大丈夫だから膝を圧迫するのやめてくれないかな?」
慌てて離れる。
「藍海のこと守れなかった。ごめんね。」
「いいの、こうやって大好きな人が心配してくれるだけで嬉しいよ。」
見つめ合って、
キスを、
「藍海!生きてたんだね!生還おめでとう〜。」
「お姉ちゃん…。」
そうだ。ここは姉の領地。ここでキスしようとしたことが間違いだった。
若干戸惑う隼人くんの手を引っ張っり、
「私もう大丈夫だから帰るね。お姉ちゃんも早くいい人見つけたらー?」
嫌みを言い放ち帰る。
「姉思いの妹だな〜。お姉ちゃん頑張るけどさー、そっちも家の前で人目をはばからずちゅっちゅするのはよしなさい?」
あー見られてた。死にたい。
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