距離

2節

部活をやっていた頃の先輩から「私の跡継ぎしてよ!」とLINEがきた。なんの跡継ぎか説明がない。聞き返すと「ごめんごめん!文化委員長やってくれない?楽だよ!」とのことだった。
大好きな先輩からお願いされたら断る理由なんてない。きっと進路にも役立つだろうし先輩から引き継ぐことにした。
後日、先輩と委員会の顧問から委員長の説明を聞き、委員長挨拶として委員会を開くことになった。
文化委員を招集し、挨拶をする。
委員の中に加藤隼人がいた。
なんとなく気になって、委員会が終わったあと教室から出ていく姿を目で追いかけた。
向こうに気付かれる。軽く会釈をされ、逃げるように去っていった。

その日の夜、加藤隼人からメッセージがきた。なんとなく来ることはわかっていたけどなんて返したらいいかわからなかった。
とりあえず委員長になった経緯を説明し、そこから会話が始まった。
この人面白いじゃん。そう思いながらポンポン会話をしていった。
「ねえねえ!藍海ちゃんって彼氏いるの!」
夏休みのことを思い出す。心の奥がズキッと痛んだ。いないと言えばいいだけなのに、なんとなく嫌で無視をしてしまった。
そこからメッセージが来ることはなかった。
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