大人のような子供の二人
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 薄暗い裏通りの狭い道。

 オフィス街でもない、繁華街の端にある小さな倉庫ビル。

 昔、おじさんだかお祖父さんだかが建てて、そのまま引き継いだ……って聞いたことがある。今は居住兼スタジオになってる今野くんのお城。

 それを見上げて、溜め息をつく。

 謝らせてやれ……と、言われても、実際にアレから顔も会わせていない。

 今野くんは契約社員だから、依頼がないと会社に来ないし……だからと言って、用もない私がここに来るのも変な話にならない?

 仕事の依頼……と、言ってしまおうか。

 ううん。ダメダメ。

 あんな事を言った手前、仕事なんて話にしたら、なんて言われるか──……。

 そう思ってから気がついたのは、自分のプライド。

 ほとんど売り言葉に買い言葉。

 実際、今まで今野くんにはかなり助けてもらっている。助けてもらっているのに素直にありがとう……と言えないのは、たぶんプライド。

 女だからってナメられたくない。そんな気分にさせられるのは、半分は宇津木君の熱心さと、今野くんの正解さを見てるから。
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