大人のような子供の二人

 だけど……

「真っ暗闇なんだけど~!」

「暗闇は恐いですか?」

 明らかに笑いを含んだ声が聞こえる。

「そ、そんな事はないからっ!」

「声が裏返ってますよ」

「それもないから!」

 パチリと微かな音がして、小さな照明がつく。

 微かに照らすその照明から、カメラの三脚や機材が乱雑とした空間……。

 それから、すでに大きなテーブルの向こうに今野くんが見えた。

 今野くんは無言で荷物をテーブルに置き、その中から何台かのカメラを取り出して肩を竦めると、それをそのままバックの隣に置いてから歩きだす。

「コーラとビール。どっちにしますか?」

 ジャケットを脱ぎながら、小さな冷蔵庫の前に立つ今野くん。

「加納さん?」

「え?」

「コーラとビール」

「い、いらない」

 サングラスの向こうから、睨まれた様な気がして──……

「コーラ」

「珍しい」

 ……どういう意味かしら。

 今野くんは一人掛けのソファーを私に薦めて、コーラのプルタブを開けてくれた。

「……それで?」

 それで?

「何しにここまで?」

「たまたまよ、たまたま」

 今野くんは自分のコーラを取り出し、それを眺めると元の位置に戻す。
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