大人のような子供の二人
「加納さん」

「ん?」

「何か急ぎの仕事はありますか?」

「そんな事、頼みに来た訳じゃないわ!」

「…………」

 サングラスの奥で、今野くんが笑った様な気がする。

「何よ」

「時間かかるかなぁ……と」

「かからないわよ、帰るから」

「わざわざ僕の顔を見に来たんですか?」

 そんな訳はない。

 ないけど──……近いものがあるかも知れない。

「そう言えば、この間の……企画の仕事はうまくいきましたか?」

 そう聞いてくる彼を睨む。

「大丈夫よ」

 結果として、資料室にあった写真を使って終わらせた。

 誰も使わないような写真でも、使い方によっては面白い写真があったりする。

 でも、今野くんは笑いながらビールの缶を取り出し……。

「じゃ、お聞きしましょうか」

 なんて言って、私の座るソファーのひじ掛けに腰を下ろした。
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