大人のような子供の二人
「はぁ!? 何で第二クリエーティブの有野さんが出て来るの!」

「俺じゃ話にならないからです」

「何のよ」

「企画へのテコ入れ」

 そんなのするつもり!?

 余程驚いた顔をしたのかも知れない……今野くんは唇の端を上げると、持っていた書類をヒラヒラさせながら頷いた。

「酒田さんの企画でしょう? それなら、有野さんが動いた方がいい」

「え。いや、でもね?」

「だいたい、宇津木さんにはウチのバイトちゃん連れてかれてるんです。処理だけでも手に余る」

 ああ……神崎ちゃん。何かがあると、宇津木君はあの娘を連れ出すから。

「いいですよね~。恋人達で春先の東北でしたか?」

「そうだけど。あの宇津木君が仕事に私情挟むかしら?」

「宇津木先輩なら、仕事中は挟まないでしょうね」

 でも宇津木君なりに甘やかすんじゃないかな。あのだんまりが、神崎ちゃん相手だと口を開く。

「いいよねぇ」

 ポツリと呟くと、不思議そうな表情が返って来る。

「何がです?」

「……男って」

 考えが単純っていうかさ。

 呟くと、冷たい視線が降って来た。
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