大人のような子供の二人
「何を……」

「貴女は他人の事は見えても、自分の事は見えないですよね」

「意味が……」

「解りませんか?」


 解る訳がな──……


「………っ!?」

 暖かい温もりが、唇に触れて硬直する。

 今、一体……何があったの?


 問い掛けた視線の先には、今野くんの綺麗な瞳。

 それから、微かに上がった口角。

 ゆっくりと近づいてくる。

 首を斜めに傾けて、今野くんの前髪が額に触れて──……


 唇同士が触れ合った。


「……っ!」


 微かに苦い味が広がる。

 避けようとして、後ろに下がったら今度はうなじを押さえられた。

 苦しいくらいに抱きしめられて、空気を求めて肩を押す。

 それでも、びくともしないから──……。


 思い切り蹴飛ばした。
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