大人のような子供の二人
「んなっ! 何す……っ!」

 肩で息をする私に、お腹を押さえてうずくまる今野くん。

 お互いに睨み合いは続き──……


「何の間違いよ!」

「間違いじゃねぇよ!」

「酔ってるわけ!?」

「ビール少しくらいで酔うか!!」

「叫ばないでよ!」

「蹴っておいて何を言う!」

「…………」

 普通、蹴られたら怒るね。


 いや、いやいやいや。


「怒るのは私でしょう! 私!」

「俺は謝らないからなっ!」

 偉そうに腕を組んで、目の前に座り込む今野くん。

 ……って。

 あんた、そんなキャラだった?

 いつも斜に構えてるような、人を小ばかにしたような……。

 いつでも余裕を見せてるあんたはどこにいったの?

 イライラとした視線がちらっと私を見て、微かにふて腐れた様になる。

「……何よ」

「別に」

「言いたい事があるなら言いなさいよ」

「…………」

「男らしくないからね!」

「こんな時だけ男呼ばわりするな」
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