大人のような子供の二人
 この場合、宇津木君の方が上手だったらしい。

「さすが宇津木君だな」

「俺の前で他の男の話をするって、加納さんも相当だよね」

「少なくとも、あんたより大人でしょう?」

「悪かったな」

 ムッとした視線が返って来て、ソファーに身を預けた。

「それにしても全く気付かなかったんだけど」

「…………」

「私、結構人を〝見る〟方なのに」

 ちょっとだけ合った視線が逸らされる。

「なんでだろう」

「さぁ」

「あんた、絶対に好きな子を虐めるタイプでしょう」

「違う」

「絶対にそうだって」

「……と思う」

 自信のなさそうな声に、クスクス笑いながら頷いた。

「それにしても……さ」

 よくよく考えてみるとね?

「キスはまずいわよ、キスは」

「…………」

「下手したらヤバイ方向に行くでしょう」

「…………」

「私があんたの事、大嫌いなら……ね?」

 その言葉に、ぱっと今野くんの視線が上がった。

 初めて見る表情の今野くん。

 ビックリした様な、嬉しそうな……

 その笑顔に微笑んで、首を傾げた。
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