大人のような子供の二人
 神崎ちゃんは今野くんの所でバイトしているんだもんね。私にわざわざ聞かなくても、今野くんの事なんてわかっているはず。

 その上での神崎ちゃんのこの台詞。なんだろう。これってどこかの噂好きのするような事じゃない?

「宇津木君も変わったね」

「それはない」

「そもそも、変わったと思うのよ」

「……悪い気はしないか」

 そう言っている宇津木君は、何気なくオレンジジュースを神崎ちゃんに突き付けていて頬笑ましい。

「今野が暗いんだ」

「めちゃくちゃ明るいアイツなんて見たことないけど」

「それは自業自得だ。今野はどちらかと言うとお調子者だぞ」

「そもそも、宇津木君が何故今野くんと会ってるわけ?」

 そう言うと、宇津木君の視線がちらっと動く。

 オレンジジュースに乗せられたマンゴーを、とっても美味しそうに食べている神崎ちゃんに。

「…………」

 神崎ちゃん経由で会っているとでもいうつもり?

「まさか、徒歩の癖にお迎えに行ってるの?」

 確か、宇津木君は運転とかしないよね?

「家具を選びに行ってるんで、お迎え来てくれているんです」

 神崎ちゃんがキョトンと口を開き、宇津木君に頭をグリグリされている。

 って……家具? 家具を選ぶって……?
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