大人のような子供の二人
「加納は、アレを見ていてどう思う?」

「え……? 可愛いじゃない」

「そうじゃなくて、仕事をしている時」

 仕事……。

 神崎ちゃんはカメラを持たせると真剣になる。集中力があるのはいい事だけど、端から見ているとたまに危なっかしい時もある。階段から落ちそうになったり、転びそうになったり──……

「心配ね」

「アレはプライドが高いから」

「……そう?」

「写真の撮り方に関しては、俺だって口を挟むのが怖い」

「ああ──……」

「でも多分、アイツは撮影中に機材が落ちて来て、例え下敷きになったとしても……幸せなんだと思う」

 例えが凄いけれど、解らない訳じゃないなぁ。

「普段はああなんだけれどな」

 情けないような、困ったような、そんな口調に思わず吹き出しかけ──……

「自分の女だからとは言わないが……俺はアイツを大切にしたいと思う」

 宇津木君は、今度は困ったように私を振り返る。

「無茶なら止めたいし、させたくない。アイツの場合は、集中すると言葉が届かないのが難点だが……」

 そうねぇ。私も一度叩いた方がいいのかしら……と、真剣に悩んだなぁ。

 だけど……話がズレてないかな?

「加納の場合は下手に出ると、相手にしないだろう」

 と、急に話を振られて目を丸くする。
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