あの頃ラッキーストライクと彼
その後
その後俺はあちこち転々として仕事を変え最終的に地元の建設会社に入ったが滅多に地元には帰れず海外や全国を転々とした。
地元で本格手に仕事を始めたのは二十代後半になっていた。
川野とは飲み屋街等で時々顔を合わせたがお互いに周りに誰かがいる事が多くて目で挨拶する程度だった。
川野は高そうなスーツを着てる事が多かった。
車も高級車に乗ってるようだった。
俺も仕事は順調でスポーツカーに乗っていた為にあの二人だけが成功した等と周りは陰で言っていたようだ。
川野の当時の心境は俺には分からないが俺はとにかく仕事を必死にやっていた。
充実していると言って良かった。
しかし、三十代になろうとした時に会社が倒産した。
その時に色々なゴタゴタに巻き込まれた。
俺は車で走ってる時に後ろから来る高級車に何度もパッシングされ見ると川野だった。
パチンコ屋の広い駐車場に入ると川野の車も付いて来た。
俺達はお互いに車を降りた。
川野は夏の為かポロシャツにスラックスだったが着けている時計が夏の光を反射していた。
ロレックスだろうと思えた。
川野は笑いながら近づくといきなり肩を叩いていて来た。
「痩せたな。なんで言わないんだ?俺をなめてんのか?」
そういうと尻のポケットから財布を出すと無造作に札を掴み出して俺のジーンズのポケットにねじ込んだ。
そして名刺をもう片方のポケットにねじ込むと笑った。
「何か大きな事があったら言えって言ったよな。名刺に携帯の番号が入ってるから金の相談なら乗るしお前からの相談なら乗るよ。
結婚は延びたな。こういう言い方は好きじゃないけど、お互いにまだ若いから何とかなるだろう。
とにかく食べろよな。連絡してくれよ。
俺には友達ってのは尚樹お前くらいなんだよ。」
そういうと車に乗ると軽く手を振り走り去った。