夫の教えるA~Z
「ままま、待って‼トーコが、トーコが間違っておりましたぁっ。
アキトさんを誤解してました。
やりますっ、やらせて下さい。
どうかチャンスを‼」

私は、いつの間にやら真反対のお願いをしていた。

あれ?こんなこと、前にもあったような…

「そっ…か、仕方無いな。
じゃあ、ハイ」

彼の顔に素晴らしく嬉しげな笑みが広がった。

う……、す、素敵だ。

「……ちょっと…背が届かないんで、中腰になってもらえます?」

「ん」

彼はニコヤカに膝を折り、緩やかに瞳を閉じる。


……アキトさん、トーコは貴方が好きです。
長いまつげも、私よりずっと色っぽい仕草も…キリッとした口元も…

だからお願い。

トーコを

捨てないでっ‼



チュっ♥



「ん?……んんっ‼」

ほんの一瞬の隙だった。

彼は片手を私の腰に回し、もう片方でしっかりと後頭部を押し付けた。
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