夫の教えるA~Z
して……やられた。

やっぱり、思いっきり舌入れたじゃないですか!しかも奥まで。

ちゅく…

「ん~…」
根元まで絡ませたそれを、わざとらしい音を立てさせながら、存分に吸い上げた。

「う…く…」
角度をかえて深度を浅く、離すかと思えばまたさらに深く喰い付いてくる。
 
噛みつくようなキスはその後、息が止まって酸欠しかけるまで続いて、

「ぷあっ」

ようやく開放された私は、ケホケホッと咳き込んだ。

彼に抱かれた姿勢のままに、口元を袖で拭きながら、涙目で頭上を睨み上げる。

「こ、こんなのって……ヒドいじゃ…」 

抗議を試みた矢先、

「…あ、もうこんな時間だ」

彼はケロリと腕時計を見て、抱き上げた私を上がりかまちに降ろした。

「じゃあな、行ってくるよ?奥さん」

改心の笑みを浮かべつつ、彼は手を振ってドアの外に消えた。

かろうじて手を振り返した後、私はガックリと床に両手を突いた。

ワールド・スタンダード…
これ、毎日やるのかな?

まあ……チョットは気持ちよかったけど。

困ったな。

……立てないや。  


【ふりだしにモドル↪】


(B おわり)


 
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