夫の教えるA~Z
フウッ…
彼は嘆息をはくと、今度は別の事を尋ねた。
「折角のイブなんだから…
どこか行きたいとこある?
先伸ばしの約束、せめて償わせてよ」
さっきの話が本当なら、彼は1日中私を探してくれたんだ。それこそ着替える暇もないくらい。
きっと疲れているだろう。
ゆっくり休みたいんだろうな。
いつもの癖で彼を慮った私だが、まだまだ意地悪な気持ちの方が勝ってる。
なによ、
そんなに機嫌を取りたいの?
ならばと、
私は敢えてワガママを言った。
「……博多駅のツリーね、昨日1人で見てきたの。
どっか…夜景のキレイなトコ」
ツブツブと雑音の入った抑揚のない声に、彼ははっと息を呑んだ。
「そ、そうか。
じゃあ行こ、よし、行こう」
首だけで頷くと、彼は嬉しげに “よし!” と立ち上がり、私に手を差し伸べた。
ためらいがちに手を取って起き上がった時、私は初めて彼の顔をマトモにみた。
憔悴しきって窶れた顔が、私に向かって嬉しそうに微笑みかけた。
彼は嘆息をはくと、今度は別の事を尋ねた。
「折角のイブなんだから…
どこか行きたいとこある?
先伸ばしの約束、せめて償わせてよ」
さっきの話が本当なら、彼は1日中私を探してくれたんだ。それこそ着替える暇もないくらい。
きっと疲れているだろう。
ゆっくり休みたいんだろうな。
いつもの癖で彼を慮った私だが、まだまだ意地悪な気持ちの方が勝ってる。
なによ、
そんなに機嫌を取りたいの?
ならばと、
私は敢えてワガママを言った。
「……博多駅のツリーね、昨日1人で見てきたの。
どっか…夜景のキレイなトコ」
ツブツブと雑音の入った抑揚のない声に、彼ははっと息を呑んだ。
「そ、そうか。
じゃあ行こ、よし、行こう」
首だけで頷くと、彼は嬉しげに “よし!” と立ち上がり、私に手を差し伸べた。
ためらいがちに手を取って起き上がった時、私は初めて彼の顔をマトモにみた。
憔悴しきって窶れた顔が、私に向かって嬉しそうに微笑みかけた。