夫の教えるA~Z

数分間経過。


「アッヒャッヒャ……ダメ、止めてっ。ギブです!ギブっ‼」

「感じるか?」
「感じるっ、感じてますからもう…苦しいっ…」

逃げることを許されないたまま、両の腋下を擽られた私は、悶絶死の寸前で助けられた。

ハアハア…

息を荒げながら彼を振り返ると、嬉しげに目を細めている。

良かった。

これでトーコの愛♥、分かって頂けたみたいだ。責め苦に耐えた甲斐があったというもの……

「さあ、次は貴方の番ですよぉ?」

立ち直った私はニヤリと笑い、彼に向き直って両手を開き、コチョコチョポーズをして見せる。

と、
向き直った私を彼は、グイッと自分の胸に押し付けて、懐にスッポリとくるんでしまう。
「ふぁっ…」

「…と思ったけどトーコ。やっぱ、俺の方はいいや」

彼は私を撫でながら、柔らかな声で囁いた。

「俺の場合は…もっと別の方法で、愛を証せると思うんだ」

「何それ、ズルッ!」

私は抗議を試みた。
しかし…

「『気持ちよい』と同じなんだって、言ったよな…」

色香をたっぷりと乗せて、トロリと見つめる瞳に、私は俄に魅了される。

ヤバイ。
 
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