夫の教えるA~Z
Q スノー・ホワイト
 さて、自宅で迎えたお正月。

 新年早々、私はとても困っていた。


 確かに、年末のあの喧嘩(※Oの話)を通して、私は秋人さんの新たな一面を知ることが出来たし、私達フーフの仲はますます深まった(ハズ)。
 
それは嬉しいんだけど…


「ダンナさま、お願いだから、ちょっとだけ離れててもらえませんか」

「イヤだ、トーコと約束したし。
『ゼッタイ離れない』ってさ」

 彼はこの休み中、あの時の約束を頑なに守り続けているのだが、何事にも限度というものがある。

 あれ以来、彼は私がキッチンに立っている時も、お掃除の時も、耐えず後ろに立っている。
 しかもその間、あれこれと悪戯してくるものだから、全く作業が捗らない。

 その上……

「アキトさんあのぅ、トーコは…
お、おトイレなんですが」
「オッケー、問題ない。一緒にいく」

 よくなーーーーいっ。

「お願いだから
着いてこないでーーー!!!」



 前回のことがよほど堪えたのか。

 すっかり心配性になってしまったダンナサマは、私の言葉を盾に取って、
『お風呂も一緒、寝るのも一緒、いつでも一緒』
を具現化してしまった。

 仕事が始まったらサスガにこうはいかないと思うけど…

 眠っている間に体内にGPSくらい仕込まれるんじゃないかと、本気で心配している今日この頃。

 やっぱり喧嘩なんかしないにこしたことは無いのだと、私は今、激しく後悔している。
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