夫の教えるA~Z
軽くディスってくる姉に、俺は猛抗議した。

「心配してるってことだ!
いいか、忘れたとは言わせないぞ?姉ちゃん前に、トーコを無理やり合コンに連れて行ったことがあるだろう(※I,Jのお話)」

「あ、あら。そんなこともあったかしら?」

ヒューヒュヒュー。
口を尖らせ、口笛を吹く真似をする姉に俺はさらに詰め寄った。

「トーコ並のとぼけ方をすんじゃねえ。あの後、色々大変だったんだからな?(主に俺が)」

「へー、どんな風に?」

「………。とにかく!これじゃ仕事も手に付かない!
うちは別に金に困ってる訳じゃなし、トーコが働く必要は一切ないんだ。だから、この話はなかったことに____な、なんだよ?」

突然ニヤニヤしだした姉に、俺は少したじろいだ。

「はーーん、なーんだ、そっかあ…そういうことか」

「何だよ、そのいつにも増してキモチワルイ顔は。言いたいことがあるならハッキリと…イテッ、やめろよ暴力女っ」

さっき引っ張られて赤くなっている耳を、姉はもう一度、思い切りつねり上げた。

「キモチワルイとは何よ。
言っとくけど、私とあんた、顔そっくりだからね。
…まあいいわ。要するにあんた____
自分に自信がないんだ」

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