夫の教えるA~Z
夏姉が俺を追いかけてくる。
廊下の真ん中あたりまで来たとき、俺はおもむろに振り返った。
「なあ…なんで?
なんでわざわざそんなこと言うわけ?」
「な、なんでって…
き、決まってるでしょ。仕事場での評判落とされたくないからよ。
誰だって上手くやっていきたいもんでしょ、そういうのは」
真顔でじっと見つめる俺に、珍しく怯んだ夏姉。
らしくねえ。
真っ赤な顔して、指遊びしながら目を逸らす夏姉《あんた》なんて。
ややあって。
「…分かった、善処する」
完全乙女モードの姉に、多少ゲンナリした気分で答えると、彼女は安心したように顔を輝かせた。
…ったく、調子いいよな。
俺にはいつも、“トーコに過去をぶちまける”って脅迫かけてくる癖に。
“いーい?絶対よーー”
まだ念押しする姉から逃げるように、俺は指定された部屋に入った。
廊下の真ん中あたりまで来たとき、俺はおもむろに振り返った。
「なあ…なんで?
なんでわざわざそんなこと言うわけ?」
「な、なんでって…
き、決まってるでしょ。仕事場での評判落とされたくないからよ。
誰だって上手くやっていきたいもんでしょ、そういうのは」
真顔でじっと見つめる俺に、珍しく怯んだ夏姉。
らしくねえ。
真っ赤な顔して、指遊びしながら目を逸らす夏姉《あんた》なんて。
ややあって。
「…分かった、善処する」
完全乙女モードの姉に、多少ゲンナリした気分で答えると、彼女は安心したように顔を輝かせた。
…ったく、調子いいよな。
俺にはいつも、“トーコに過去をぶちまける”って脅迫かけてくる癖に。
“いーい?絶対よーー”
まだ念押しする姉から逃げるように、俺は指定された部屋に入った。