夫の教えるA~Z
キュポン。キュポン。
とくに彼女は、左胸に集中して、多くのセンサーを取りつけてゆく。

下世話な話で申し訳ないのだが、俺はかなり敏感な体質で、それも弱いのは胸、特に乳首(ちく)

「はあんっ」
「はあ?」

突如、ヒヤリとした感覚が俺の超敏感な部分にあたり、俺は思わず身体を跳ね上げた。

気がつけば、頭上で眼鏡女史が
(こいつ、何考えてんのよ)といった顔をしている。

「す、すみません。…何か変な声出ちゃって」

明らかに俺を侮蔑の目で見ている女史に小さな声で謝ると、
「…もういいです。じゃあそのまま、すこし寝ててくださいね」
彼女は明らかに不愉快そうな様子で眼鏡を上げ、奥のほうへ行ってしまった。

ブーンというモニター音だけが響く薄暗い部屋。
その間も、ヌルヌル上の吸盤は、堪えず俺を刺激し続ける。
これは、休むどころではない。
まずいことに、胸への刺激で反射的に、俺の下半身が反応し始めているではないか!

超絶、激ヤバだ。
裾が短かすぎるガウンを肌け、シャツの裾を持ち上げている絵面の俺が、今、ここで、かようなモノをおっ勃ててしまったら、マジもんの変態。
すぐにここへ戻るであろう、クールビューティ女史に通報されてしまう。

くそっ、意識したせいで余計に…

…かくなる上は、《《あれ》》しかねえ。

意を決した俺は、
今にも鎌首をもたげそうなソイツを、無理やり自慢の大腿筋(ハムストリングス)の間にギュッと挟み込んだ。

い、痛っってえええっ!
しかし、う、くぅぅっ、我慢だ我慢。

苦痛に堪えること約1分。眼鏡女史が戻ってくる。

よかった、何とか堪え切ることができた。

はああああ…♥️
常に冷ややかな表情を崩さない氷の彫像、眼鏡女史が、今は慈愛に満ちた天使に見える。

ん?何か難しい顔をしているようだが…

「あー、大神さんすみません。
ちょっとデータがうまく録れなかったんで…
最初からやり直しますね」
「エ」

キュポッ、キュポッ、キュポキュポッ。

俺の努力など知るよしもなく、あまりにあっさりと吸盤センサーを取りはずしてゆく彼女。

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……

その後の俺は、心電図のデータが正常値に収まるまで、さっきまでの一連の流れを何度もやり直す、エンドレス検査地獄に陥るのだった…
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