夫の教えるA~Z
後日___
「ただいま」
午後9時、昼間めいっぱい働き、程よく疲れて家に戻ると、
「アキトさーーーんっ」
トーコが猛然と玄関先までダッシュしてきた。
おいおい、毎日、どれだけ熱烈に歓迎してくれてんだよ。
俺は、鞄を下に置くと、両手を拡げて彼女が飛び込んでくるのを待つ。
…が、彼女はその腕に収まらず、目の前でピタっと止まった。
みると、彼女は大きな目に、いっぱいの涙を貯めている。
「ど、どうしたんだトーコ。目にゴミでも入ったか」
「…違います…見てください、これ」
トーコは俺に、手に持っていたプリントの束の束を差し出した。
どうやら、こないだのドック検査の結果表のようだ。
さすがはトーコ、「親展」の封筒をあっさり破り、先に中身を見たらしい。
俺は、急いで内容を確認しはじめた。
その横では、トーコがさめざめと泣いている。
「アキトさん…私、あなたが毎日そんなに無理していたなんて気づかなかった。
身体が辛くっても、苦しくっても私のために頑張ってくれていたんですね。
思いっきり元気なくせに、大袈裟だなんて思っててゴメンなさい…うう…ヒック」
トーコの反応どおり、見る限りその結果は、散々なものだった。
肺活量、心電図、その他諸々いたるところに、「要再検査」「要精密検査」の文字がある。
しかし…これは…
数々の思い当たるフシを頭に浮かべていたところ、覚悟を決めたとでもいうように、キリっとトーコが眉を上げた。
「ね、アキトさん。
ここに書いてあるように、きちんともう一度、隅々まで身体を見てもらいましょう。絶対に大丈夫ですから。明日、朝一で病院に行きましょう。トーコが付き添って差しあげますから、ね?」
「…いやだ」
「え?」
「もう嫌だー-----!!」
みなさん、検査はちゃんと受けましょう。
《W おわり》
「ただいま」
午後9時、昼間めいっぱい働き、程よく疲れて家に戻ると、
「アキトさーーーんっ」
トーコが猛然と玄関先までダッシュしてきた。
おいおい、毎日、どれだけ熱烈に歓迎してくれてんだよ。
俺は、鞄を下に置くと、両手を拡げて彼女が飛び込んでくるのを待つ。
…が、彼女はその腕に収まらず、目の前でピタっと止まった。
みると、彼女は大きな目に、いっぱいの涙を貯めている。
「ど、どうしたんだトーコ。目にゴミでも入ったか」
「…違います…見てください、これ」
トーコは俺に、手に持っていたプリントの束の束を差し出した。
どうやら、こないだのドック検査の結果表のようだ。
さすがはトーコ、「親展」の封筒をあっさり破り、先に中身を見たらしい。
俺は、急いで内容を確認しはじめた。
その横では、トーコがさめざめと泣いている。
「アキトさん…私、あなたが毎日そんなに無理していたなんて気づかなかった。
身体が辛くっても、苦しくっても私のために頑張ってくれていたんですね。
思いっきり元気なくせに、大袈裟だなんて思っててゴメンなさい…うう…ヒック」
トーコの反応どおり、見る限りその結果は、散々なものだった。
肺活量、心電図、その他諸々いたるところに、「要再検査」「要精密検査」の文字がある。
しかし…これは…
数々の思い当たるフシを頭に浮かべていたところ、覚悟を決めたとでもいうように、キリっとトーコが眉を上げた。
「ね、アキトさん。
ここに書いてあるように、きちんともう一度、隅々まで身体を見てもらいましょう。絶対に大丈夫ですから。明日、朝一で病院に行きましょう。トーコが付き添って差しあげますから、ね?」
「…いやだ」
「え?」
「もう嫌だー-----!!」
みなさん、検査はちゃんと受けましょう。
《W おわり》