夫の教えるA~Z
『と~っても良くお似合いですよ~‼』

同じ言葉を何度も掛けられながら、何10着も試して選んだそれは、我ながら“イケる”と思える逸品だった。
 
ちょっとお高かったケドね。
 
控えめではあるものの、割りと露出度の高い、ホワイト系のフェミニン仕様は、私にしては珍しいチョイス。

というのも、唯一のチャーム・ポイントであるおムネが一番キレイに見えるヤツを選んだからだ。

この気合いの入り様、何故かって?そりゃあモチロン…

カレ(ダンナ様)にいいところを見せたいからだ!

フフフ…

《以下、トーコの妄想》

『ただいま~』
『あら、お帰りなさい、ダンナ様』

(省略)

『へぇ、海に。で、どんな水着を買ったんだい?』
『エヘヘ…見たい?』

『うわぁ、見違えたなあ。アホの赤野とは思えない……カワイイよ』
『カワイイだなんて、そんなぁ』

『ハハハ…明日のビーチは君のモノだね。でも、ダンナ様としては、少し妬けちゃうなあ。他の男に声なんか掛けられるなよ?』

『やだ、妬けるだなんて…トーコはアナタ一筋ですワん』

『トーコ♥』
『アキトさん♥』
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