夫の教えるA~Z
「たまんねえよな、あの女。俺に振られたと思ったら次は若い新規に言い寄ってやがんの。一緒にジム来たり、トレーニングでやたらベタベタ触りまくったり。
…ったく、年考えろってんだよな、キッショ。
こないだまで、"お料理できるようになりたいんですぅ"なんつって、俺ん家にまで上がり込んでたくせによー」

「ギャハハ、ヒッデエなお前。お前だって未婚だって嘘ついて嫁さんの留守中に連れ込んでたんだろ~。
…で、実際どうなのよ。春日ちゃん、《《あの》》大神夏子とヤッちゃったわけ?」

「も、勿論。
…………。
あ、でもさ、あの女、あんまりヨくなかったぜ。図体デカイし、筋肉で身体カッチカチだし、男抱いてるみたいでさ。ククッ、そうそう、身体デカくてビッチだからアソコもガバガバだし?まあ、ビッチだけにフェラだけは割とよかったかな~」

「え~、まじかよいいなあ、俺もヤりてえ。美人でビッチな年上の女ってさ、めちゃくちゃ丁寧にやってくれそう…」

「やめとけって。趣味悪いなオマエ。ま、でもさ、あのドーテー君なら騙されてくれんじゃねえの?”私処女よ、結婚してえ♡”なんつって」
「ギャハハ、お前ってマジでサイテーな」

…本当に最低だと思いました。同じ男として恥ずかしいと、許せないと思った僕は、黙って通り過ぎることが出来ずにその部屋の扉を開けてしまいました。

2人は、とても驚いた顔をしていました。
僕は、なるべく冷静なつもりで言いました。

「すみません、たまたま通りかかったので。あの、勝手に聞いてしまったのは申し訳なかったんですが__
彼女のこと、そんな風に言うのは止めてもらえませんか?」

「え、っと。何のことです?俺らは別に」

1人の男は(とぼ)けていましたが、もう一人、栄養管理士の春日さんは(※Tのお話に出てきます)、僕の方を嫌な目で睨みつけていました。
僕は話を続けました。
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