夫の教えるA~Z
「それで、ひとつ訂正させてください。あなた、彼女から僕に何かを言ってきたように仰ってましたけど、そういうことは一切ありませんから。僕が勝手に彼女に片思いをしていて、勝手に側にまとわりついているだけで…」
「あーハイハイ。仰ることはよ~く分かりました!
以後気を付けま~す」
さっきまで僕を睨んでいた春日さんが、僕の言葉を遮ります。ふざけたような口調でしたが、一応反省の言葉ととって、僕はその場を去ろうとしました。
でもその後、ニヤニヤと嫌な笑い方をして僕に言いました。
「でもねお客さん、アイツと付き合うつもりだったら、元カレとしてひとつ忠告しといてあげますよ。
アイツって見た目はちょっといいかもしれないけど、実はとんでもない女なんですよ。既婚の僕に無理やり関係迫ってきて、いざ別れ話になったら力任せに殴る蹴るの暴力。いやあ、こっちが手を出せないのをいいことに、酷いもんです。
それにアイツ、今までに何人も男騙してますからね。お客さんも、気を付けた方がいいですよ~」
「このっ、謝れよ!夏子さんがそんなことするわけないだろうがっ」
この頃には僕は、すっかり頭に血が上ってしまっていました。こんなこと、初めてでした。気が付けば僕は、春日さんの胸倉を掴んで、大声で叫んでいました。
「お、お客さん落ち着いて!
おい、お前も止めろよ、ちょっと言いすぎだぞ」
もう一人の男が、間に入って僕を止めました。
それでもそいつは、ニヤニヤと嫌な顔で笑うのを止めませんでした。
_____
「そりゃあ…」
俺は絶句した。その男のことは、多分知っている。ちょっと前姉ちゃんが好きだった男、例の既婚栄養士だ。
しかし、この話の流れで何故、松田はこんなに落ち込んでいるんだ?
俺なんて話を聞いただけでもう、すでに気持ちが昂っている。”アイツまじで社会的に抹殺してやろうか”、なんて考えているのに。
「あーハイハイ。仰ることはよ~く分かりました!
以後気を付けま~す」
さっきまで僕を睨んでいた春日さんが、僕の言葉を遮ります。ふざけたような口調でしたが、一応反省の言葉ととって、僕はその場を去ろうとしました。
でもその後、ニヤニヤと嫌な笑い方をして僕に言いました。
「でもねお客さん、アイツと付き合うつもりだったら、元カレとしてひとつ忠告しといてあげますよ。
アイツって見た目はちょっといいかもしれないけど、実はとんでもない女なんですよ。既婚の僕に無理やり関係迫ってきて、いざ別れ話になったら力任せに殴る蹴るの暴力。いやあ、こっちが手を出せないのをいいことに、酷いもんです。
それにアイツ、今までに何人も男騙してますからね。お客さんも、気を付けた方がいいですよ~」
「このっ、謝れよ!夏子さんがそんなことするわけないだろうがっ」
この頃には僕は、すっかり頭に血が上ってしまっていました。こんなこと、初めてでした。気が付けば僕は、春日さんの胸倉を掴んで、大声で叫んでいました。
「お、お客さん落ち着いて!
おい、お前も止めろよ、ちょっと言いすぎだぞ」
もう一人の男が、間に入って僕を止めました。
それでもそいつは、ニヤニヤと嫌な顔で笑うのを止めませんでした。
_____
「そりゃあ…」
俺は絶句した。その男のことは、多分知っている。ちょっと前姉ちゃんが好きだった男、例の既婚栄養士だ。
しかし、この話の流れで何故、松田はこんなに落ち込んでいるんだ?
俺なんて話を聞いただけでもう、すでに気持ちが昂っている。”アイツまじで社会的に抹殺してやろうか”、なんて考えているのに。