夫の教えるA~Z
その夜の食卓にて、私は話を切り出した。

「へえぇ、海に」
「ハイ、突如そう言う話になりまして」

「俺は明日、スズキ建設のスズキ社長の、釣り接待が入ってるから同行は出来ないが……」

「ええ、スーさんですね?存じておりますとも。夕食には釣果をお待ちしております!」

「ハハハ…そう言われると、プレッシャーだなあ…」


「……それでね、今日……」
私は本題に入った。

ガタッ。
彼は、何故か椅子から滑り落ちた。

「な、何…水着…だぁ?」

「あれ、大丈夫ですか?ええ、ちょっと買っちゃいました」

彼は体勢を立て直し、ついでに崩れかけた表情も直しながら尋ねた。

「フッ、そ、そうかい。
…どんなヤツだ。ちょっと見せてみ?」

きた!

「…実は、今この下に着けております」

ここぞとばかりに私は、彼の前に立った。
思わせ振りにパーカーのチャックをゆっくりと降ろし、ハラリとそれを床に落とす。

極めつけにグラビア・アイドルのように口角を上げ、扇情的に微笑んだ。
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