夫の教えるA~Z
その夜。

「俺明日、4:30だから」

言い残すと、彼は初めて私に背を向けて眠ってしまった。

(ううっ…アキトさぁ~ん)

私は1人、彼のナイトウェアの裾を握って涙に暮れる。


…きっと呆れちゃったんだ。

そりゃあ、何人もの女の子とイイお付き合いをしてきた彼だ。

そう言えば噂では、何とかいうミスコンで2、3位に輝いた事がある、どこかの女子大生を落とした事もあるなど、様々な悪名が広まっていた。

私なんかのセクシーショット(?)になんか、見向きもしないのは当たり前だよね……

にしても、ですよ?

あんなに嫌そうにしなくても、お世辞にでも『可愛いね』くらい言ってくれたって良いじゃないか!

トーコは貴方に、ドキドキハラハラして欲しかっただけなのに。


ギリギリと、掴んだ衣服を噛み締めた。

フンだ、いいもん。

明日は3人で、思いっきり楽しんでやるからさ。
 
よーし、トーコだってやるときはやるのだ!

私だって満更でもないんだって、自分がモテて当たり前だと思ってる貴方に、


見せつけてやるーーー‼‼

 



二人の夜は擦れ違う___


(E:おわり F②に続く)
 
< 36 / 337 >

この作品をシェア

pagetop