夫の教えるA~Z
「ご、ゴメンね。折角だけど…モガガッ」
断りかけた実果ちゃんの口を塞ぎ、私は思いっきり聞こえるよう、甘えた声で言った。

「ええ~~、どうしよっかな~~?」

「も、モガ~~っ」
(ちょっと、何言ってるの、ダンナさん逹が見てるじゃん‼)

心の声で叫んだ実果ちゃんに、私は黙って白木くんの寝ていた場所を指差した。

(ん?)

太陽に焦がされている筈の白木くんの姿がない。
目線をちょっと横にずらす。
すると……

『HAHAHAHA…』

その地点から20メートルほど離れた日影で、外国女性2人と楽しげに談笑の真っ最中の彼が見えた。

海外事業部の彼は、英語が堪能なのだ。

一人が、思いっきり彼のホッペにチューをした。
『WAO‼』


「………」

実果ちゃんは黙って私の手を退けた。
顔を見合わせ、頷いた。
2人の利害は一致した。

イケメン学生さんを振り返り、息ピッタリのセクシーポーズ。

「…良くってよ、お姉さん達が……遊んでア・ゲ・ル」

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