夫の教えるA~Z
…………

「ハイ、そっち行ったあ」
「ソレー」

2対2といえばビーチバレー。
男女のペアで、キャッキャとやっている。

相変わらず、ウチのダンナ様は知らん顔で女の子と釣り、白木くんは金髪美人にデレている。
我々はさらにムキになり、楽しげな黄色い声をあげる。

「オットォっ‼」 

間に落ちそうなボールを取ろうとした私と金髪クンの身体がぶつかった。

「ご、ゴメン、大丈夫?」
無邪気な笑顔で、すこし頬を赤らめて私の手を取り引き起こす。

私もつられてポッとなる。

それをきっかけに、もう一人の黒髪優等生くんが言った。

「ちょっと休憩しよっか?」
浜辺に腰掛け、ひと休み。

身体を動かし汗を流すと、屈託はすっかり消えていた。

地元の学生だといった彼等は、私の大学の後輩で自然と話も弾んでいた。

歳の近い異性との久々のふれ合いに、私達はいつしか夢中になった。

「…だからね、赤ずきんちゃんは本当は……」
「へえ…」
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