夫の教えるA~Z
「……私達、来年の秋には結婚だから」

エエッ!

「昨日はそんなこと全然…」
「フフフ…実は……今朝がた彼から、ね」

苦節4年。
とうとうやったと、両手を握ってランラン回る。

…そう言えば朝方、2人でどこかへ消えてたな。

向こうでアキトさんと話をしている彼をチラリと見ると、何だか少し嬉しそうだ。

「…というわけで」
「出席、夫妻で宜しくね。あとスピーチもね」

うっ……早い。

「それから…
大神さんが本社に戻った暁には、ダンナを是非、宜しく!」
私の両手をガッシリ握る。

実果ちゃんはやはりシッカリものだった。

2人の新幹線を見送って、私達は家路を歩く。
彼が私を見下ろして言った。
「…どっか、寄ってく?」
「いいのっ⁉」

一緒に歩くのは大好きだ。私は仔犬のように尻尾を振って、彼の側にまとわりついた。
 
久しぶりのお昼デート、腕組みで歩いてアイスも分けあい、プレゼントも買って貰って……
かつてないほどの大サービス、私は大満足だった。
< 53 / 337 >

この作品をシェア

pagetop